放射線治療の概要

「がんに厳しく、身体に優しい」

Background
放射線治療の背景

昔は、放射線治療というと、末期がんだけに行われる治療だとか、皮膚障害など副作用が怖いといった印象を持つ人が多かったようです。しかしながら、現代の放射線治療では、高線量の放射線をがんの存在する部位に集中させ、周囲の正常臓器の線量を大幅に抑制することが可能になっています。がんには濃く、正常組織には薄くという、精密な線量の塗り分けこそが、現在の放射線治療の真髄です。定位放射線治療 (SRT)、強度変調放射線治療 (IMRT)、画像誘導放射線照射 (IGRT) などの高精度照射技術の進歩と普及により、「がんに厳しく、身体に優しい」という放射線治療の特徴は、様々な臓器のがん治療に活用されています。

Object
放射線治療の目的

実際のがん治療において、放射線治療はどんな目的で行われるでしょうか。

集学的治療
手術、放射線、薬剤治療は、がん治療の3本柱と言われますが、どれか1つを選べというものではなく、うまく組み合わせることが集学的治療です。
放射線治療を組み合わせることで、手術侵襲の規模を小さくしたり、抗癌剤を減らしたりすることが可能です。
非手術的低侵襲治療
従来、がんという病気は、手術で取りきれるならば、迷わず切るのが常識と考えられていました。現在は、あえて手術をせずに、高精度放射線治療を駆使することで、手術に遜色ない根治力と、身体的負担の軽減の両立を目指すことも可能な時代になってきています。
機能形態温存
放射線治療の特徴の一つが機能形態温存です。放射線は、何回にも分割して照射することで、がん細胞だけを殺し、正常細胞を温存することができます。この性質を利用して、正常臓器の機能や形態を犠牲にせずに、がん組織だけを抑え込むことを狙います。
臨床放射線.2006,51(7),p879-882
緩和的放射線治療
がんによる痛みなどの症状を緩和する目的の放射線治療です。鎮痛剤と異なり、痛みの根本原因を治療するので、副作用は少なく効果は強力です。

以上4つの視点から考えると、放射線治療がどのように活用されているか、ご理解いただけるかと思います。

About
放射線治療の概要

放射線治療の流れ

実際の放射線治療の流れは、以下のようになります。



放射線治療科初診:放射線治療の適応決定をします。問診、診察、各種検査の上、放射線治療を行った方がよいかどうか、行うとしたらどのようなタイミング、スケジュール、併用療法を用いるか、などを決定します。院内からの場合は、カンファレンス(他科との適応検討会)、オーダリング(紹介、適応相談)などを介して、放射線治療科の初診外来受診となります。院外からの場合は、手紙などによる紹介状および過去の画像情報や検査データをご持参いただき、初診外来受診となります(完全予約制です)。この際、治療方法の詳細や想定される副作用などの説明を行います。



治療計画CT:実際の治療開始の1日~2週間前に、放射線治療部門内にある専用装置にて、治療計画CTを撮影します。撮影には数十分かかります。外来初診日同日に撮影する場合と、後日改めて撮影に来ていただく場合があります。CT撮影と同時に、頭部固定用マスクを作成したり、皮膚に位置確認のマークを付けたりします。このCT撮影は、治療計画のために行うものです。放射線照射の角度、照射範囲、強さのバランスなどを、患者さんの体型や、腫瘍の場所、広がり、性質にもとづいて精密にデザインし、個々の患者さんごとに放射線照射の設計図を作成します。


毎日の放射線照射:治療計画CTの1日~2週間後に、毎日の放射線照射が始まります。照射は通常1日1回で、休日を除く月曜から金曜まで、照射時間は10分から30分位です。治療の回数は、がんの種類によって異なり、1回~40回(平均25回程度)まで様々です。放射線照射は、リニアックという装置で行います。照射そのものには、痛みなどの苦痛は伴いません。患者さんがすることは、装置の台上にリラックスした体勢で寝ているだけです。放射線照射を受けることによって、患者さんの身体が放射線を帯びることはありません。身体には、放射線の効果だけが残り、放射線自体は残りません。

治療期間中の診察:通常の放射線治療は数週間かけて行います(平均5週間程度)。その間、最低でも週1回は、放射線治療科診察室で、副作用や治療効果のチェックのための診察を行います。診察日以外でも、気になる症状があれば、ためらわずに相談してください。
治療終了後の診察:一連の放射線治療が終了した後、定期的な放射線治療科再診外来の受診(通常、数週から数カ月に1回のペース)をする場合があります。
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